今朝、テレビを見ていたらベテラン俳優が知人の大物演歌歌手について「歌が大変お上手な方で、、、」と紹介していました。
確かに歌は上手いし、間違った事は言っていません。
ですが、本人がこのコメントを聞いて褒められたと感じる事はないし、喜ぶ事もないでしょう。
例えば、プロ野球選手が練習の見学に来ていたフツーのオッサンに「にーちゃん、野球うまいな〜」と声をかけられたとします。
口では「ありがとうございます」と言うでしょうが、「褒められた、ヨッシャ〜!!」とは絶対思っていません。
むしろ「上手いからプロになれたんじゃ〜!コレで飯食っとんじゃい!!ボケ!!」ぐらいの気持ちでいると思います。
こういった発言が褒め言葉になるのは、同じプロ野球選手やOBだけです。
同僚から「お前、うまいな〜」と言われたらそれは最高の褒め言葉でしょう。
では、その道のプロに対して、どういった言葉が褒め言葉になるのでしょう。
私事で恐縮ですが、以前、イラスト作成の業務委託契約をした会社での初日の話です。
依頼されたイラストを描き上げ提出した時に、担当部署の課長と部長が様子を見にきました。
私を面接し、採用決定としたのがこのふたりです。
どの程度使えるのか確認しに来たのでしょう。
予想以上に私のイラストが良かった様で、課長からは
「絵、うまいね〜。私には描けないわ〜」
と言われ、部長からは
「さすがだね〜。いいセンスしてるよ。やっぱプロだね!」
と言われました。
どちらも同じ様な褒め言葉の様ですが、私が受けた感じは全く違うものでした。
前者に対する私の率直な思いは「何?この上からくる感じ!? 絵描きのプロとして雇われたんだから絵描きが本業じゃないあなたより上手いのは当然です。」
後者に対しては、素直に「評価された!嬉しい!!」と感じました。
どちらに対しても「ありがとうございます!」とは答えましたが、「うまいね」と「さすがだね」には大きな違いがあるのを感じた瞬間でした。
「うまいね」には見下されている感があります。
「さすがだね」は良い評価をされた感じを受けます。
先にも書きましたが、プロ野球選手に素人が「野球うまいっすね!」と言っても喜ばないし、むしろ不快に感じると思います。
褒めるなら「さすがはプロ!」「スゴいっすね!」「ホンモノは違うな〜」みたいなニュアンスの方が好感を持たれます。
微妙で理解できないですか?
確かに、この程度の違いで「ありがとう」を言ったり言わなかったりみたいなことはありませんが、ささいな一言でも、褒められたと感じるのは気分が良いものです。
まあ、何かを極めた方なら分かっていただけるか、経験されているのではないでしょうか。
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カテゴリ:イラストレーターの仕事
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