テキスタイル・デザイナーにとっては基礎的な技術です。
途切れなく続く柄(総柄)を作る時、ある一定の幅で同じ柄が繰り返される様に柄を構成する必要があります。
これを「リピート」または「送り」といいます。
「レピート」 という方もいます。
リピートの技法についてはいくつかありますが、代表的なものに「四方送り」と「ハーフ・ステップ送り」があります。
以下、シンプルな図形で図案を作成しました。
これが1リピートとなります。
Aが四方送り、Bがハーフステップです。
違いが分かりますか?
違いは側面のジョイント部分です。
Aは、上下左右(四方)にそのまま繰り返されます。
Bは、半分ずつ段差(ハーフステップ)をつけています。
一般的に、単調な柄は四方送り、柄のクセを目立たせない(単調にならない)様にする場合にハーフステップと使い分けます。
上記の例はシンプルなモチーフのため分かりにくいですが、柄が複雑になると顕著に現れます。
ちなみに、ウェブ素材としての壁紙は四方送りのリピートです。
ハーフステップでは柄が合わなくなります。
両者は全く違うものなのでしょうか。
実は、根本的な部分では同じです。
ハーフステップの図案を以下の様に半分ズラして横につなげます。
コレをワンリピートと考えると、四方送りの図案になります。
四方送りの2倍の面積で柄を構成しているのですから、ハーフステップの方が複雑に見えるは当然です。
ではなぜ、ハーフステップという技法が考案されたのでしょうか。
それは「手抜き」です。
パソコンやカラーコピーで同じモチーフを簡単に作れる様になったのはつい最近の事です。
それまでは職人が手描きで作業していました。
私も以前は手描きで図案を描いていましたので感じますが、同じモチーフを何個も描くのは非常に面倒です。
今なら「コピペで」って話ですが、当時は「ハステで(←勝手に略しましたw)」手抜きしたのです。
なるべく少ない労力で複雑に見せる工夫だったんですね。
テキスタイルデザインの基本中の基本ですが、ウェブ用の壁紙作成などにも役立てています。
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